マスクによる口呼吸に注意
2021年02月02日
新型コロナウィルス感染症が猛威を振るっています。ワクチン接種も始まりますが、しばらくは「Withコロナの時代」で、コロナとうまく付き合いながら、社会生活を送っていく必要があります。
その様な中で、マスク生活がすっかり定着しました。外出してどこに立ち寄っても、ほぼ全員がマスクをされています。日本人の真面目さを象徴しているようです。マスクをすると呼吸に抵抗がかかるため、口呼吸になりやすいと言われています。皆様はマスクをしている時に、鼻と口のどちらで呼吸をされているでしょうか?一度確認してみて下さい。
人間は激しい運動時などを除いて、基本的に鼻で呼吸をするようになっています。ただ、現在は習慣的に口呼吸が身についてしまっている人が増えています。私が小さい頃は、しつけとして口がポカンと開いていると、閉じるように注意をされていましたが、今はどうでしょうか?リラックスしている時に口が開いている人は、ほぼ100%口呼吸をしています。以前、私が校医をしている小学校で調査を行った事がありますが、クラスの約半数の生徒の口がポカンと開いていました。また、朝起きて、口の中がカラカラに乾いている人も、寝ている間に口呼吸をしています。
口呼吸は、様々な体調不良の原因となります。鼻呼吸を行うと、鼻から吸った空気は鼻の奥の鼻腔(びくう)を通る時に温められ、加湿されてから肺に送られます。また、鼻呼吸では外気が通過するときに鼻毛や粘膜の表面に生えた線毛、粘液によって、ほこり、細菌やウイルスといった異物が取り除かれます。鼻呼吸には、こうした防御機能が働いています。一方、口呼吸を行うと、汚れたままの外気がそのまま肺に到達して、肺がダメージを受け、感染症などを引き起こしやすくなります。歯科的には、口呼吸で口腔内が乾燥すると唾液の作用が弱まり、虫歯や歯周炎が悪化しやすくなります。また、口腔内の細菌が増えることにより誤嚥性肺炎を起こしやすくなったり、口臭が強くなったりします。睡眠時に口呼吸を行うと口まわりなど筋肉が緩んで口が開き、舌根が沈下します。これによって、いびきをかいたり、呼吸が浅くなったり無呼吸が起こったりします。マスクをしていると、相手に表情を伝える必要が減り、表情筋を動かす機会が減ることにより、筋肉の弛緩が起こり、口を閉じる力が衰えて口が開きやすくなり、結果、口呼吸につながるとも言われています。
このように、口呼吸は万病の元と言っても過言ではありませんので、ぜひ鼻呼吸の習慣を付けたいところです。鼻に炎症があると、鼻呼吸が難しくなりますのでその様な方は耳鼻科で適切な治療を受けられて下さい。そうではなく、習慣的な口呼吸になっている方は、色々な対処法がネット等にたくさん出ていますので、参考にされて下さい。今はマスクのため息がしづらく口呼吸になっている方がいますので、マスクをした状態でも極力鼻呼吸を意識し、それが辛い方はマスクをしなくて良い状況では極力外して鼻呼吸を行って下さい。
コロナはもうしばらく続きます。コロナ感染をせっかく防ぐことができても、口呼吸で体調不良に陥らないように、十分注意して下さい。